1999年1月:『ビートルズとネクタイ』





現在では、ロック・ミュージシャンは奇抜なファッションをしているもので、ネクタイと言えばサラリーマンのもの、と多くの人が思っているはず。

しかし、デビュー当時のビートルズを見てもわかるように、ロック・ミュージシャンがきちんとネクタイをしめている、しかもそれがかっこいい、そんな時代もあったのです。

革ジャンに革パンツのロックンローラー・スタイルだったビートルズに、きちんとしたスーツを着せ、ネクタイをしめさせたのはマネージャーとなったブライアン・エプスタインでした。彼のセンスと判断が大正解だったことは歴史が証明しています。

男のおしゃれのポイントであるネクタイ。正装には欠かせないネクタイ。

ネクタイという語はネック(首)とタイ(結ぶ)をくっつけた英語。王侯貴族のえりもとを飾っていたレースやチーフが発展して現在のような形状となり、この名称で呼ばれはじめたのが1830年ごろのこと。日本製のネクタイは1885年に初めて作られたということです。

ネクタイと言えばジョージの「あなたのネクタイが気に入りません」発言があります。初対面のジョージ・マーティンから「なにか気に入らないことがあれば言いなさい」と言われ、すかさず先のふるったジョークで応酬したという有名なエピソードです。ネクタイはその人の個性や主義主張(というのはちょっと大げさですが)を、端的に表す役目をしていたのでしょう(だからこそジョークのネタにするのがおもしろかったはずです)。それは現在でも変わらない点と言えるかもしれません。

ステージでもプライベートでもきちんとネクタイをしていた初期のころのビートルズ。

ネクタイの流行は、デザインだけでなく結び方や幅の変化にも表れますが、この時期の4人のネクタイは太くも細くもなく、まだそれほどネクタイのおしゃれには関心がないようでした。その後、4人のネクタイは、おしゃれを楽しむ余裕とともにどんどん変化していきます。

1964年ごろは、だんだん結び目が細くなってスマートなスタイルになり、1965〜66年にかけてはあまりネクタイをしなくなっていきました。そして1967年、アルバム“SGT. PEPPER”の発表のころ爆発するサイケデリック・ブーム。ネクタイの世界にもサイケの波は押し寄せ、その柄を強調するため幅広のものを、結び目を太くしてしめるのがもっともイカすスタイルでした。ビートルズのファッションにもふたたびネクタイが返り咲いています。男女のかき根を超えたモノ・セックスなファッションがあたりまえになっていったのもこのころからで、4人も女もののシルクのスカーフ、さらにフリルの付いたシャツなどを好んで着るようになっていったのです。

ネクタイから始まったビートルズのおしゃれ、そしてその後のファッショナブルなスタイルが、現代の「ロックの人たちは奇抜なファッションをするものだ」という常識につながっていったのではないかとあらためて思うのですが、いかがでしょうか。


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