STORY2 ジョージとリンゴ登場

ポールはクオリーメンのメンバーに加わってまもなく、リバプール・インスティチュートで1級下のジョージを連れてきた。ジョージは、バスの運転手をしていた父ハロルドと母ルイーズの4番目の子として生まれた。上には姉ルイーズと兄のハロルドとピーターがいて、末っ子のジョージは非常にかわいがられて育った。ピーターの影響でジョージもギターに熱中し、猛練習に励む。母はジョージを激励した。また、当時としては長髪で、ぴったりしたドレイニーにエルビス風の先のとがったスエード・シューズをはいて、「いかにも」といういでたちの派手な少年だったが、母はそんなジョージのよき理解者でもあった。ジョージは典型的なテディ・ボーイのジョンにあこがれていたが、ジョンにとって3つ下のジョージはほんの子どもにしか見えなかった。そういうふたりの位置関係は、将来もずっと変わらなかったようだ。

これで4人のうちの3人がそろった。このころリンゴも、おそまきながら着実に3人に接近しつつあった。

リンゴはリバプールでもっとも貧しい地区ディングルで生まれた。リンゴが3歳のとき両親が離婚し、パン職人だった父リチャードが家を出た。母エルシーはひとり息子をたいせつに育てていたが、リンゴは体が弱く、小学校に入ってまもなく生死をさまようほどの大病をし、中学生になっても入退院をくりかえしていた。学校の勉強はすっかり遅れてしまった。病院でも長期間入院している子どもには勉強を教えていて、このとき出会った音楽の先生がリンゴにドラムを教えてくれた。13歳のときには母が再婚し、義父となったハリー・グレイブスはリンゴに中古のドラム・セットを買ってくれた。リンゴはアメリカの映画や音楽にのめり込んでいった。中学は形だけ卒業し、職を転々としたが、けっきょく最終的には、ドラマーとなるように運命づけられていたのだ。

やがてロリー・ストーム&ハリケーンズというバンドにドラマーとして加入。ジョンとポールとジョージがリンゴに出会う日も、もうすぐそこに近づいていた。


[STORY1へ][MENUにもどる]