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ポール、絵画展開催にあたり記者会見


ポールの絵画展が予定どおり5月1日にドイツのジーゲンでオープンし、4月30日にはポールの出席のもと記者会見が開かれた。主な内容は次のとおり。

作風について。「最初はとりあえず、自分が描きたいようにまったく自由にやってみることにした。そうしているうちに、僕なりのスタイルが生まれてきたように思う。でもひとつのスタイルに固執しているわけではなく自然にまかせている」「(作風を説明するとしたら)抽象主義寄りのスタイルかなとは思うけど、まあ、答えは自然に絵に表れてくるものなのかもしれない。でも僕にとってもっと大事なことは、絵を描くことが好きだっていうこと、ただそれだけだ」
初めての個展の開催地にジーゲンを選んだ理由について。「ジーゲンの文化イベント事務所長のウォルフガング・ズットナーは、絵のことで真剣にアプローチしてきた初めての人で、彼は僕の名前にではなく、作品そのものに興味を示してくれていると感じたから。ほかのほとんどの人たちは有名人の描いた絵を展示したいっていうだけで、僕の絵を見ようともしなかった」
親しい友人だというウィレム・デ・クーニングについて、また40歳という比較的遅い年齢で絵を描きはじめたことについて。「僕の絵はどちらかというと自己流だ。でも、デ・クーニングのような人たちからは確かに影響を受けている。僕には、絵を描くことはアート・スクールを出た人たちだけに許されることで、僕の入り込む余地なんかないという思い込みがあって、大きな壁となっていた。ところが彼と話をしたら心が自由になって、そんなふうに思うのはばかげているということに気づいた。僕は絵が描きたかったし、第一、それまで僕に絵を描くことを許さなかったのは、唯一自分自身だったと気づいたんだ」「40歳になったとき、だれかから『人生は40歳からだ』って言われた。ずっと絵を描きたいと思っていたので、絵を始めるにはいちばんいいときかもしれないと思った。ちょうどそのころデ・クーニングと話をして、僕は心を解き放たれた。それ以来絵を描いている」
絵にまつわるエピソード。「あるとき外で絵を描いていたら、ハエが飛んできてカンバスにとまった。このハエはアートに命を捧げようとしているんだなって思ったよ。好きにさせてやろうと思って、ハエをそのままにしておくことにした。個展を開くことになって絵を遠くまで運ぶのに、ハエのついている部分をどうすればいいか、美術品の保管の専門家と何度も何度も話しあったけど、けっきょく、『バイバイ、ハエちゃん!』ってことになった」
今後、絵を描く仕事を依頼されたり、絵を売ってほしいと言われたらどうするか。「断わるね。僕は職業として絵を描いているわけじゃないから、そういう仕事は受けない」
ジョン・レノンやスチュアート・サトクリフからの影響について。「作風そのものは影響を受けていなくても、『やりたきゃやる』的な自由さという点が、おそらく僕がふたりから受けたもっとも大きな影響だと思う」
「音と色には共通するところがいっぱいあると思う。音の話をするときには、音の持つカラーの話もしたりするだろう。でも実際絵を描くときには音楽は聴かない。音楽は(頭を指さして)この中に入ってるから、それを聴いている」「絵でも音楽でも同じように、あらゆる感情を表現することが可能だと思う」
「個展は今回が初めてなので、開いてよかったと思うか、もうごめんだと思うか、苦い経験になるのか、最初はまったく見当がつかなかったけど、実際この段階までは、まあまあいい線いっていると思う。評論家から『やつの絵はからっきしダメだ』なんて言われたら、次の機会を考えるのはちょっと難しくなるのかもしれないけど、そういうコメントを読まなければ、まったく問題なしだ!もしほんとうに僕の絵が観たいと言ってくれる人がいるならば、これからも喜んで開きたいと思っている」

作品の一部は、ポールの絵画展のオフィシャル・サイト(www.siegen-wittgenstein.de/kultur/pmc/indexb.htm)のなかの"Gallery"のページで観ることができる。
また、絵画展のオープンを前に、ポールはイギリスの新聞『インディペンデント』のインタビューに答えて次のように語っていた。「(絵の展覧会を開くからといって)人を感心させてやろうなんて思ってないよ。自分ではわれながらすごいと思ってるけど、それだけで十分」


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