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映画『イエロー・サブマリン』でビートルズの声を演じた俳優のインタビュー


イギリスの新聞『ガーディアン』(8月24日)が、映画『イエロー・サブマリン』でビートルズのメンバーの声を演じた俳優にインタビューを行なっている。インタビューに応じたのは、ジョージ役のピーター・バトン以外の3人。(バトンはロンドンのパブでリバプールなまりで話しているところを監督のジョージ・ダニングに見いだされ、ジョージ・ハリスン役に抜擢された。しかし、映画完成間近というときに、突然軍警察に連行されてしまった。バトンがイギリス軍の脱走兵だったということがそのときわかったのだが、以来消息不明となっている。)
ジョン役のジョン・クライブ、ポール役のジェフリー・ヒューズ、リンゴ役のポール・アンジェラスは、マージーサイド出身の役者で、現在も演劇やテレビ、映画などで活躍している。アンジェラスはロジャー・マッゴーの友人でもある(詩人のマッゴーはポールの弟マイケル・マッカートニーとともにスキャッフォールドを組んでいた)。バトンがいなくなったあと、ジョージの声はアンジェラスが演じた。
『イエロー・サブマリン』にビートルズ自身が声の出演をしなかったことについて、アル・ブロダックスは次のように告白している。「実はほっとしました。4人の声を演じたのは役者ですから、おとなしく、言われたことを言われたとおりにきちんと演じてくれますからね。でもビートルズのような有名人では、そうはいきません」。しかしジョン・クライブの話は少し違うようだ。「ブロダックスは私たちにこんなことを言いました。『リバプールなまりなんかで話したら、なにを言っているのか、バッファローあたりの観客にはさっぱりわからないだろう。もっとアメリカ人のように話すんだな。アメリカでも通じるようにね』。私たちはあぜんとしてしまいました。そんなことを言われるなんて、信じられなかった。そして言ったんです。『まさか、そんなことは絶対にできません。私たちはこのまま、できるだけビートルズに近づけた声でやりますよ。その点についてはずいぶん話しあいましたね。私たちはたとえクビになったとしても、それだけは譲れないと思っていました。ビートルズのメンバーにも、私たちが最善をつくしたということを知っておいてほしいと思います。クビになることも覚悟だったんですから」
しかしアンジェラスの回想では、実際には彼らの努力もほとんど評価されることはなかったという。映画のタイトルロールには声優4人の名前が出ているだけで、だれがどのメンバーの役を演じたかは書かれていない。「最初は私たちをクレジットすらしないつもりだったようです。クレジットされたのは、私たちが公開のための書類にサインすることを拒否したのでしかたなく、ということでした」。クライブは映画のプレミアにさえ招待されなかったことを指摘。「配給会社は明らかに、観客にはビートルズが話しているという幻想を抱かせておいたままにしたほうがいいと考えていたようです」。クライブは映画の宣伝担当に、ビートルズの声をやっているのは自分たちだとマスコミに公にすると脅しをかけると、ようやく招待されることになったという。しかし、「実際に劇場に行ってみましたが、『あの声を演じているのは私たちなんだとわかっている人はここにはひとりもいないんだ』と思い知らされるだけでした」
ポールを演じたヒューズは少し違ったとり方をしている。「だれかがジョンに吹き替えについて感想を求めると、ジョンは『どの声もすばらしかったよ。僕の以外はね』と言ったんです。4人ともそう思っていたんじゃないですかね」


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