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ポール、リバプールのキャバーンでライブ!


12月14日、ポールはリバプールの新生キャバーン・クラブでライブを行ない、約45分間にわたって、アルバム『ラン・デヴィル・ラン』の収録曲を中心に13曲を披露した。
会場内では抽選に当たった150人のファンと、VIPや友人などMPLの関係者、報道陣など、およそ300人がステージを見守ったが、そのなかにはポールの娘のステラや弟のマイケル、アップルのニール・アスピノールらもいた。会場近くのChavasse Parkには巨大ビデオ・スクリーンが設置され、チケットを手に入れられなかった1万人以上のファンのために、ライブのようすが生中継された。インターネットでも生中継されたが、コンサート後にポールのスポークスマンが発表したところによると、世界中で少なくとも300万人がこれを観たと推定されるという。「ライブそのものはこぢんまりしていても、世界中から注目される大規模なものになるだろう」ということから、今回のショーには「リトル・ビッグ・ギグ」というタイトルがつけられた。
午後8時、いよいよ世紀のショーの始まり。紹介のアナウンスのあと、ポールはストラップを肩にかけヘフナー・ベースを構えると、いきなり「ハニー・ハッシュ」が始まり、ステージは幕を開けた。1曲目から快調にとばしたあと、ポールは「ようこそ、キャバーンへ!ずいぶん久しぶりだけど、またここに戻って来られてうれしいよ」とあいさつ。ライブは曲と曲のあいだに、ポールのひと言ふた言程度のごく短いトークをはさんで次々と進められていった。2曲目の「ブルー・ジーン・ボップ」を演奏したあとポールが、もうすっかりおなじみになったメンバー(デイブ・ギルモア、ミック・グリーン、イアン・ペイス、ピート・ウィングフィールド)を、ファースト・ネームだけを呼んで軽く紹介。このときにはアコーディオン奏者のクリス・ホールも紹介され、次の曲を暗示させた。予想どおり、3曲目はファースト・シングルに収められている「ブラウン・アイド・ハンサム・マン」。
4曲目となった「ファビュラス」では、イントロがうまくそろわずに、ポールは歌詞の最初の2語までは歌ったものの、「ちょっと待った」とストップをかけ、最初から演奏しなおした。「このバンドでは、うまくいかなきゃ最初からやりなおすことになってるんだよ」と、余裕すら感じさせるポール。
曲が終わったあと、今度は「世界中から観てくれているみんな、ようこそ!」と、インターネットを通じてライブを観ているファンにあいさつをした。次に演奏されたのは「ワット・イット・イズ」。この曲については、バージン・ラジオの特集でポール自身が「リンダが朝食を作っているあいだに作った曲。リンダに『今の曲、いいじゃない』って言われて、これはやらなきゃって思った」と解説していた。この曲を歌い終えて、ポールはますます気分がノッてきたようで、「いいねぇ、いいだろう?」とキャバーンでのライブをみずからも満喫しているようすだ。そして、「厳密に言えば、キャバーンがあったのはここじゃない。(指さして)ほんとうはこの向こうあたり。がれきの下に埋められちゃってるんだ。リバプール市議会も『すばらしい決断』を下してくれたもんだ。『そうだ、キャバーンを埋めてしまえ』『それはいい考えだ』とか何とか言ってね…まあいいけど」と、キャバーンに対する深い思いを込めての辛口な発言もとびだした。
6曲目の「ロンサム・タウン」は、「過去、現在、未来を通じて、愛するすべての人たちに捧げます」と紹介された。
7曲目の「トゥエンティ・フライト・ロック」を始める前に、ポールは「僕がジョン・レノンに会った日…」と言って、この曲に対する特別な思いについてふれた。ふたりが出会った1957年7月6日、ポールがこの曲をジョンの目の前で演奏してみせ、ジョンのために歌詞を紙にかいてやったという話は有名だが、ステージではポールの口から直接、「この曲がきっかけで、僕はビートルズに入れてもらえることになったんだと思う」と語られた。このあとは語りはなくそのまま8曲目の「ノー・アザー・ベイビー」へ。
オールディーズが続いたあと、9曲目はポールのオリジナルの「トライ・ノット・トゥ・クライ」で、ポールは意図的に「次の曲は'90年代の曲」と紹介。そもそもアルバム『ラン・デヴィル・ラン』自体がほとんどライブ・レコーディングだったというだけあって、ライブ・ステージでもほとんどすべての曲がアルバムとほぼ同じアレンジで演奏されたが、この曲では、ひととおり演奏していったんストップしたあと、リプライズのおまけがついて、コーラス部分がワン・フレーズ歌われた。続けてアルバムからの曲「シェイク・ア・ハンド」を情感たっぷりに歌いあげたあと、ステージ終盤に向けてさらにヒート・アップ。ポールがティーンエイジャーだったころ「元気づけられた曲」だというエルビス・プレスリーの「オール・シュック・アップ」が演奏された。そのあと、ふたたびインターネットの観客に向かって「世界中のみんな、楽しんでるかい?」と声をかけるポール。客席から返事が返ってくると、「君たちに聞いてるんじゃないよ」と、カメラに向かってアップでふたたび声をかけた。次に、「次の曲は'50年代でも'90年代でもない…その中間だな」と言って、ビートルズ・ナンバーが登場。「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」でメイン・ステージは幕を閉じた。
いったんメンバー全員がステージを去ったあと、アンコールにこたえてふたたび登場したポールとバンド。演奏の準備が整うまでのあいだ、ビートルズがキャバーンで演奏していたときのように観客から「サム・アザー・ガイ」をやってほしいという声がかかったが、「リクエストはやらないんだ」とポール。そして、ポールが「僕のミレニアム・パーティ」と言っていたこのショーは、アルバムでも最後に収められている「パーティ」でしめくくられた。曲のエンディングで、"I won't stop, I'm not giving up!"と叫んでいたポールからは、「これからもずっとロックを続けていくつもりだ」と以前インタビューで語った言葉が重なって、かたい決意が感じられた。ポールは「次のステージでまた会おう!」という言葉を残してふたたびステージを去った。


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