新着ニュース


ジュリアン・レノンの声明が12月7日に発表された


ジョンのいちばん上の息子でミュージシャンのジュリアン(37歳)が7日木曜日、父親の20回目の命日を前に声明を発表。これまで「すでに父およびビートルズのことに関してはすべて語り尽くした」と話していたジュリアンだが、今回20年という区切りの年に際して、父ジョンとの日々、義理の母にあたるヨーコとの関係など洗いざらい告白している。

ジュリアンはジョンの最初の結婚相手であるシンシア・パウウェル(現)との間に1963年誕生した。今回の声明のなかでシンシアとの離婚後、ヨーコと再婚し自分たちをかえりみることのなかった父親を「魂を抜かれた操り人形」と評したジュリアンだが、彼とヨーコが長い間犬猿の仲であることは周知の事実で、最近になってもジョンの遺産をめぐり衝突を繰り返している。

ジュリアンは99年にアルバム“PHOTOGRAPH SMILE”を発表して以来、音楽シーンから遠のいているが、今後も活動を続けていくとのこと。

以下がジュリアンの声明文―
「この20回目の命日に際して、たくさんの人たちから、ビートルズや父のことに関する電話やメールが僕のもとに届きました。確かに彼らの存在は僕自身の音楽人生に多大なる影響を与えてくれました。しかしそれ以外のことを語るのは今後いっさいやめにしようと、2000年を迎えた今年の元旦以降、心に決めてきたのです。なにもかもすべて語り尽くされた感がありますし、そこに今さら僕が言うことなど何もないと思ったからです。人は、僕のことをずっとまるで「ビートルズの生き字引」のような見方をしてきましたが、正直僕はそんなんではありませんし。

僕ジョン・チャールズ・ジュリアン・レノンは1963年4月8日に生れました。しかし実の父であるジョン・レノンといっしょに生活したのは、生れてからほんの数年の間だけなのです。その後は彼が死ぬまでに、数えるほどしか会ったことがありません。正直悲しいことに、父であるその人のことを僕はほとんど何も知らないわけです。彼の残した作品、そして彼が3人の友人ポール、ジョージ、リンゴとともに残した足跡はどれもすばらしく偉大なものであると思います。しかしどの作品も僕にとって実の父親の姿や生活、そして感情を知り得る鍵にはならないのです。

人生とは生きているだけですでに大変なものです。しかもそこに自分の居場所を見つけ出そうとすれば、それはさらにハードなものになります。特に自分の存在が認められていないような人にとってはなおさらです。
自分以外の人間の人生を常に当てはめられ、持ち得るはずのない答えを求められてきた者にとって、自分の存在や人格を明確にすることがどれだけ大変か・・・。僕はジョン・レノンではないのです。彼が生きてきた人生と僕が生きてきた、そしてこれから生きていく人生はまったく別のものです。
にも関わらず、いまだに多くの人がその答えを僕のなかに見つけようとする。真実は常にそのものの中にあるもので、存在しないものの答えをそれ以外のところに求めようとしても、それは無駄なことなのです。何かに気付くことはあっても、触れることができなければ知ることもできないものなのです。

父にたいしては、愛情と憎悪の繰り返しでした。たとえそこに彼がいようといまいと関係なく、僕の感情はひたすらそのふたつを行ったり来たりしてきたのです。僕と父のような関係は決して特別珍しいことではありません。似たような境遇の人たちはほかにもたくさんいるはずです。しかしひとつ違ったのは、僕たちの場合、常に公の目にさらされてきたということで、その点においては僕自身の気持ちはまったく考慮されるもではありませんでした。
10代、20代の頃は、周りで言われたり起きたりしていることがまったく理解できずに、怒りを覚えたことも多々ありました。その怒りの矛先はほとんどいつも父に向けられていました。彼が平和だ愛だと叫んでいても、その平和も愛も僕のもとに届いたことは一度もなかったわけですから。

もし今も父が生きていたら僕たちの関係はどうなっていたのでしょうか。果たして彼が「ジョン・レノン(父)」であったか、それとも「ジョン・オノ・レノン(魂を抜かれた操り人形)」であったか、それにもよると思いますが。
父の人生に思いを馳せるたびに、世界中の人々を魅了するスターであった彼が、突如ブラックホールに吸い込まれたような巡り会いをしてしまったことにたいして、僕はいつも気の毒な気持ちになってしまうのです。父親という自分の立場に彼がおののいていたことは確かですが、ヨーコとの生活がさらに僕との関係性を崩壊させたことは間違いありません。お互い長い間会うこともなく、常に誰かの「言葉」だけが気持ちも姿も見えないところでどんどんと大きくなっていったのです。しかしビートルズという存在がそれに影響をおよぼしたとは思っていません。

なにはともあれ彼が自分の犯した過ちに気付いてくれることを、そして僕自身も父親の犯した過ちを繰り返さぬことを願うだけです。僕には弟がいます。ショーンのことを僕はほんとうに愛していますし、同じように彼も背負った運命とうまく向き合っていってくれることを願っています。なにがあっても自分を愛し、守ってくれる兄がいるということだけは忘れないでいてほしい。父さんのそばで、自分なりの人生を送りそして最後に笑うんだ!そして父さん、どこにいようとこれからも僕たちを照らしつづけてください。僕らはひとつです。 
ジュリアン・レノン

なお、この原文はジュリアンのオフィシャルサイトに掲載されている。


[新着ニュース一覧にもどる]