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高松市市長の願い届かず?


一部の参加者が式の最中、クラッカーを鳴らすなどして騒ぎ、「荒れる成人式」として、全国にこのシーンがテレビ放映された高松市の成人式。その増田昌三市長は新成人への祝辞として、ジョン・レノンの「イマジン」をスピーチ中に流し、歌詞のフレーズを引用して言葉を贈っていた。下記が祝辞の原稿。

西暦2001年の新春の本日,晴れて成人式を迎えられた皆様,誠におめでとうございます。
皆様方には、21世紀最初の成人の日を、明るい希望と期待に燃えて迎えられたことと存じます。皆様方は、成人されたことにより、日本国民としての様々な権利が与えられるとともに、また、果たさなければならない数多くの責任と義務も課せられることになります。これからは、自らの行動に責任と自覚を持っていただかなければなりません。
さて、20世紀は、「戦争の世紀」とも「科学技術の世紀」ともいわれ、人類の歴史において類を見ないスピードで変化した100年でした。とりわけ科学技術の進歩は人々を宇宙へ飛び出させるだけでなく、遺伝子操作をも可能にし、時間・空間を越えた世界のボーダーレスを急速に進展させています。その20世紀が終わり、私たちが「未来」と呼んでおりました21世紀は、さらに激しい変化が予想されています。その変化のなかにあって、平和で心豊かな世界を実現するためには、いつの時代にも存在する人としての普遍の価値観、すなわち、自己を律し、常に人に対するやさしさや思いやり、人の痛みのわかる豊かな情操と自然に対する畏敬の念、さらには人や自然への感謝の心、社会の不正を憎み、不正を正す強い意志と行動力を、私たち一人一人が持たなければならないと思います。
私は昨年秋、タイへ国際ボランティアの視察に行ってまいりました。そこには想像もつかない光景が現実として私を待っていました。都市スラムと貧困農村、その劣悪な生活環境の中では、孤児、エイズ感染者、薬物中毒者、虐待を受けている子ども達など、私達日本人では考えられない生活を送っている人が多く存在し、改めて平和、そして教育の大切さを実感したのです。そのような中、国際ボランティアとして日本の多くの若者が活躍している姿に私は胸を打たれました。このような若者がいるかぎり、日本の将来は大丈夫だと心強く、また誇らしくも感じました。
世界は今、新たな共存と協力の時代に入っています。皆様方に、このように異国の地で活躍している多くの仲間がいるということを知っていただき、成人となったこの時から、身のまわりのどんな小さなことからでも、人に役立つ何かをしていただきたいと思うのです。
ところで、皆様が生まれ育った高松市は、市政を施行して今年で111年を迎えます。21世紀においても、この高松市が瀬戸内海圏の中核都市として一層発展していくためには、市民、とりわけ、あなたたち新成人の若い力と柔軟な思考がぜひとも必要です。どうかその若さ溢れるエネルギーをもって、高松市の発展のため、そして「笑顔あふれる ひとにやさしいまち・高松」の実現のため、積極的に市政に参加していただきたいと存じます。一度しかない人生です。今日のよき日を契機とされ、これからの人生において、それぞれが夢の実現を目指して日々努力されますことを心から期待申しあげます。最後に、今、後ろで流れているジョン・レノンの「イマジン」の最後の1フレーズを紹介して,私のはげましの言葉といたします。

「想像してごらん
所有するものなんか何もないと…
果たして君にできるかな
欲張りや飢えの必要もなく
人は皆兄弟なのさ
想像してごらん
すべての人々が世界を分かち合っていると」

本日は、おめでとうございます。


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