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トニー・レビン来日記念インタビュー 続報

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ジョンの‘I'm losing you’プロモでの渋い姿でおなじみのトニー・レビンが4月に来日。ザ・ビートルズ・クラブは公演先のお台場で取材にあたった。その模様をBネットでもご紹介しよう。

Q:ビートルズやジョン・レノン・ファンにとって、トニー・レビンさんはジョンの生前最後のアルバムに参加したミュージシャンとして非常に興味深い存在です。
往年のロック・ファンはピーター・ガブリエルやキング・クリムゾン、そして今回のアルバム“WATERS OF EDEN”であなたのことをよく知っていますし、ジョンの‘I'm Losing You’のビデオ・クリップを観た若い人たちのあいだでは「あのシブイ人はだれ?」と話題になったりしました(笑)。若いファンになにかメッセージを。

A:僕にとって、ジョン・レノンとプレイできたことはものすごく光栄なことだよ。今でもそのチャンスにめぐり逢えたことに感謝してる。それほどすごいレコーディングに参加できてね。ファンの人同様、僕の人生でとっても重要なことなんだよ。

Q:“DOUBLE FANTASY”の思い出をたくさん話していただけますか?

A:難しいな、2週間も3週間もあったからね。でもいちばん記憶に残っているのは、別のミュージシャンが参加した日だね。チープ・トリックからリック・ニールセンやバニー・カルロスが来て。同じ曲をいろんなバージョンでプレイしたんだ、ロックンロール・バージョンでね。あれは特別な思い出だね。それにジョンのまわりにいるというだけで特別だったよ。テイクのあいまにジャムったり、ジョンの曲以外の曲を演奏したり。レコードをいっしょに作り、さらにいっしょにプレイできるのは最高だったよ。
あと思い出深いことと言えば、レコーディングが終わるころに映画のクルーが来てビデオの一部を撮影に来たことだ。どの部分か思い出せないけど。ジョンはカメラの前ではいつものジョン・レノンじゃなくて、「パフォーマー」に変わるんだ。セッションを率いているソングライターの顔になる。スタジオでは見たことのないジョンの一面を見たっていう感じだったよ。カメラの前で堂々たるパフォーマーぶりを示したんだ。すごい才能を見せつけられたようだった。それはすばらしい思い出だな。

Q:‘Clean Up Time’と‘Beatiful Boy’では、あなたが考え出した「スティック」という変わった楽器が演奏に用いられたと言われていますが、その変わった楽器を見てジョンはなにか言っていましたか?

A:うーん、思い出せないな。たぶんジョンがスティックを演奏するように僕に言ったんじゃないかな。僕はなにもセッションに持って行かなかったから。もしそうならジョンが言ったからだと思うよ。どうしてその曲でスティックを演奏したんだろうね。あまりにも昔のことで思い出せないな。‘Clean Up Time’でほんとうに弾いてる?アルバムにスティックって書かれてる? なにかでスティックみたいな音のするテクニカル・アームの付いたベースを演奏したのは覚えてる。ジョンが練習してって言ったんだ。曲のイントロをそれで始めようってことで。

Q:‘Watching The Wheels’などいくつかの曲でレゲエ風のアプローチが聴かれますが、それはレゲエ好きのジョンが指示したものなのですか?

A:ジョンのアイデアでもあったし、僕やドラマーのアンディー・ニューマークのアイデアでもあった。そのころの流行りの流れでね。どちらかと言えばジョンというより僕らのアイデアだったんだよ。ジョンがなんて僕に言ったか正確には覚えていないけど、僕やドラマーは、ちょっと変化をつけるためにときどきそんなふうに演奏を始めたものだよ。

Q:同じくヨーコの曲では、トリッキーな速いアプローチも聴かれますが、意識的なものですか? それとも曲に触発されて?

A:ヨーコがレゲエっぽくやってくれって言ってたのはよく覚えてるよ。彼女はブロンディーっぽいのも好きだったね。だからヨーコの曲ではレゲエかブロンディーのスタイルでプレイしたね。

Q:ヨーコのアルバム“SEASON OF GLASS”ではフィル・スペクターがプロデュースをしていますが、何らかの指示はありましたか?

A:あれはとてもほかと違っていたね。フィルはバンドに対して特になにも言わなかったよ。指示のほとんどはヨーコが出していたね。彼女が全曲を管理していたよ。

Q:ベーシストしてポール・マッカートニーを意識したことがありますか?

A:もちろんイエスだよ。影響大さ。ビートルズがデビューしたころから彼のベースを意識して聴いていたよ。メロディックなスタイルとヘフナーのはじめのユニークなサウンドにはインスピレーションを受けたね。僕はヘフナーみたいなのは弾いたことないんだけど。僕には違うサウンドがあったからね。でもジョンとプレイするときはちょっとポールっぽくしてたね。僕はポール・マッカートニー・サウンドをウッド(木)のようだって例えたりするんだけど、そのとてもすてきなウッド・サウンドでね。ポールの影響は大きいよ。それはどのベーシストにも言えるんじゃないかな。

Q:この記事を読んで、ビートルズやジョン・レノンのファンがあなたのアルバムを聴いてみたいなと感じると思いますが、ロマンティックな最新アルバム“WATERS OF EDEN”のアピールをしてください。

A:僕はビートルズじゃないからね(笑)、インストゥルメンタルだよ。僕のこのアルバムに対するアイデアはとてもメロディックなレコードにしようということだった。歌ではなくベースで僕が書いた曲をね。でもリードはベースとギター、ときにはキーボードのあいだにしたよ。僕にとってはメロディ重視、メロディを基にしたインストゥルメンタル・アルバムだ。
僕はリンゴのアルバムにも参加したことがあるんだよ!“RINGO THE 4TH”っていうショート・アルバムだけどね。“DOUBLE FANTASY”のセッションは長くてね、3週間も続いた。“DOUBLE FANTASY”と“MILK AND HONEY”のアルバム2枚分だったけど、リンゴのはもっと短かった。だからあんまり親しくなれなかったんだ。ニューヨークのセッション・ミュージシャンがリンゴとプレイしていたから、あまりいっしょに過ごせなかったんだ。でも彼とプレイできたのは、ほんとうにすごく光栄だよ! 彼のドラミングは特別でユニークで力強いんだ。彼とスタジオにいるっていうだけでいい気分だったよ。ほんとうに光栄で、すばらしかったんだ。

Q:トニー・レビンさんはクールなミュージシャンズ・ミュージシャンで、タイトで存在感のあるベーシストというイメージがあります。今回のアルバム“WATERS OF EDEN”では「作曲中心」、しかもベースをリード楽器(ときにはベース・ソロも!)としてフィーチャーされたことは意外だったのですが、なにか心境の変化があったのですか?

A:さっきもふれたけど、メロディックなミュージックを目指したということだね。ベース・プレイより作曲を重視したんだよ。でもベースをリードにすることで、何となくポール・マッカートニーのスタイルになったかな。彼のベース・ラインはメロディックだからね。でももっと重要なことで僕がポールを好きな理由は、彼のベース・ラインは曲のたいせつな部分を壊さないということなんだ。僕もベース・プレイヤーとしてそうなるように努力してる。僕にとってだいじなのはベースのパートじゃなくてミュージックそのものなんだ。ビートルズの曲もひとつに完成されて初めて重要なものになるようにね。

Q:ベース・ラインを考えるときはまずベースを手に取って考えますか? それとも置いて?

A:ケース・バイ・ケースだね。ピーター・ガブリエルとのときは彼のそばでアイデアが出て来るまで何度も弾いた。ジョン・レノンは曲をすぐ始めるから、なにをしたらいいのかわかるんだ。彼のやり方、スタイルをわかってるからね。ポール・サイモンとなら、彼と話し合って意見をまとめるだろうし。自分の曲なら、曲作りの前に頭のなかでもうベース・ラインが聞こえて来るから最初からベースで始める。だからそれぞれ違うんだよ。

Q:作曲ではドラムとのコンビネーションのどこにいちばん重きを置いていらっしゃいますか?

A:僕の作曲方法にはふた通りあるんだ。ひとつはそれぞれのプレイヤーがそれぞれのパートを担当し、貢献しあうコラボレーション・スタイルで、僕はその場合ベース・パートを担当する。ドラムはドラマーがね。
もうひとつは僕が全部のアイデアを作ってしまう。その場合僕はみんなに説明しなければいけない。でもドラマーのジェリー・マロッタは例外で、僕がしたいことをよくわかってくれているから、なにも言わなくていいんだ。

Q:ベースはMusic ManのStingRayを使っていらっしゃるそうですが、弦はフラットですか? ラウンドですか?

A:テクニカルな質問だね! 両方使うよ、作品によって変えるんだ。すごく古いベースを持っているんだけど、それはフラットだな。よく合うからね。出したいサウンドに合わせてベースを選ぶんだよ。

−ありがとうございました!−


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