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●“WATERS OF EDEN”(ウォーターズ・オブ・エデン)
TONY LEVIN(トニー・レビン)
ジョンの遺作となった“DOUBLE FANTASY”をはじめ、“MILK AND HONEY”、ヨーコの“SEASON
OF GLASS”のクレジットにも名を連ねるベーシスト、最近では‘I'm Losing You’のプロモ・ビデオのなかでもクールにベースを弾いていたトニー・レビンの最新アルバム。タイトルやジャケットからもわかるとおり、透明感のある雰囲気に仕上がっている。キング・クリムゾンに加入したり、そのスキンヘッドの容貌からプログレッシブ、またはハードなイメージを持っている方もいると思うが、本作は「自分の好きな種類の音楽、ワールド・ミュージックとクラッシックの要素の結合を試みた」とトニー自身が語っているように収録曲は美しく、壮大である。ベーシストのソロということだが、ベースという楽器がでしゃばりすぎるわけでなく、抑えるところは抑え、曲全体に重きを置いているところがトニーらしい。「ベースは低域を担当する以外にすばらしいメロディを秘めている。ベースとは肉体と感情の深い部分に触れることのできる楽器だ」 |
469 530-2
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●“FOR THE STARS”(フォー・ザ・スターズ)
ANNE SOFIE VON OTTER MEETS ELVIS
COSTELLO
(アンネ・ソフィー・フォン・オッター・ミーツ・エルビス・コステロ)
クレジットが示しているとおり、クラシック界の名ソプラノ、アンネ・ソフィー・フォン・オッターとエルビス・コステロのアルバム。曲の提供はもちろん、プロデュースもミックスもコステロが関わっていて、ダブル・トラック・ボーカルや管楽器の使い方など、ビートルズ好きのコステロだけあってていねいに処理されていて心地よい。
「壊れモノ」つながりということか、トム・ウェイツの‘Broken Bicycles’とポールの‘Junk’のメドレーは秀逸。‘Junk’では突如コステロがボーカルを担当。ビートルズの曲は‘For
No One’をカバー。ほかにもブライアン・ウィルソンの“PET SOUNDS”収録の名曲‘Don't Talk’と‘You
Still Believe Me’がカバーされているのも渋い。時折ボーカルでも登場するコステロだが、ラストの曲は「もうガマンできない」とでも言いたげに、ご自慢のヘフナー・ベースを聴かせてくれるのがウレシイ。しっとり落ち着いた名アルバム。 |
SRCS 2439
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●‘Jaded’(ジェイディッド)
AEROSMITH(エアロスミス)
ニュー・アルバム“JUST PUSH PLAY”も発売中のエアロ。でも今回はあえてシングルを紹介。エアロのビートルズ好きは有名で‘Come
Together’‘I'm Down’‘Helter Skelter’などの結構完コピのカバーもよく知られているし、スティーブン・タイラーとジョー・ペリーはリンゴの“VERTICAL
MAN”にもゲスト参加している。
なんと最初はドラマーだったというボーカルのタイラーが‘Love Me Do’でドラムを演奏! リンゴが‘Love Me
Do’でドラムを叩けなかったことへのある種、最高に笑えるジョークにもなっている。《ストーンズのコピー》なんてデビュー時には酷評されたこともあるエアロだが、単なるコピーバンドにこんな息の長い活動は不可能であるし、エアロのサウンド・アプローチは聴いてわかるとおり、ビートルズライクなのである。
タイラーの歌い方はミック・ジャガーとよく比較されるが、あのシャウトはまさにマッカートニー的。
新曲‘Jaded’は《Hey Jaded》という呼びかけで始まる。ビートルズの‘Hey Jude’がそうだったように。そして、この‘Jaded’もまた子どもへの呼びかけの歌になっているところを見ると、エアロ流のビートルズへのオマージュなのだろう。このシングルのジャケットにも青いリンゴが登場しているし、トムはこの曲のビデオでバイオリン・ベースを弾いている(たぶんCDもそう)。彼らの大ヒット‘Walk
This Way’や‘Mama Kin’もヘフナーと思われるし、エアロは昔からヘフナーっぽい音がよくある。そしてイントロからリズムは‘Ticket
To Ride’。でも相変わらず、それを抜いたってこの曲自体がいい曲なんだから、文句ナシ! |
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●“FULL CIRCLE/CARNEGIE HALL
2000”(フル・サークル/カーネギー・ホール2000)
Ravi Shankar(ラヴィ・シャンカール)
ラヴィ・シャンカールが昨年10月6日、カーネギー・ホールで行なったライブを収録したもの。シタール、タブラ、タンプーラ、ふたりずつの編成となっており、もうひとりのシタール奏者はこのコーナーでも取り上げたことがある娘のアヌシュカ。ライナーには1966年以来の愛弟子ジョージのコメントも載っている。
イントロダクションのトークから、もうオーラがすさまじい。現在御歳81のはずだが、そのオーラ、グルーヴは輝きを増している。 |
VICP61372
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●ポール渾身のロックンロール・カバーが聴けるイアン・デュリー・トリビュート盤
『ブラン・ニュー・ブーツ・アンド・パンティーズ』
2000年3月に癌で他界したイギリスのシンガー、イアン・デュリーのトリビュート・アルバムにポールが参加。曲は、いきなりごきげんなポールのシャウトで始まる‘I'm
Partial To Your Abracadabra’。ホーン・セクションを従え、スリリングな展開。ロックンロール・アルバム“RUN
DEVIL RUN”のノリでポールが渾身のカバーを披露している。シャウト、シャウトでポール・ファンにはたまらない。ジャケットのアートワークを“SGT.
PEPPER”を手掛けたピーター・ブレイクが担当。参加アーティストはポールのほかにシニード・オコナー、ロビー・ウィリアムス、マッドネスなど。
1977年に登場したイアン・デュリー。パンク・ロック・ブームの真っ只中にもかかわらず、幅広い音楽性、そしてなによりユーモラスな面を多分に持ち合わせていて、そんなところがポールもお気に入りだったに違いない。
中にはポールのかわいい写真も載っている。ファン必携の一枚!超おすすめ盤! |
SRCL-5053
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●“PLEASE PLEASE ME LIVE at
ABBEY ROAD”
(プリーズ・プリーズ・ミー・ライブ・アット・アビーロード)
THE PARROTS(ザ・パロッツ)
あのパロッツがなんと“PLEASE PLEASE ME”の全曲を再現。しかもスタジオ録音で作り込んで再現したのではなく、ライブ録音だというから驚き。
“PLEASE PLEASE ME”はライブ感を出すため一発録りを基本にしたアルバム。それゆえライブ録音というのはまさに正解。ボーカル、演奏、サウンドと細部まで注意深くコピーされているだけでなく、オリジナルの持つ熱気や勢いまで感じられるものに仕上がっている。ボーナス・トラック!も聴き応えあり。 |