新着ニュース アルバム“LET IT BE”が、タイトルを“LET IT BE … NAKED”としてアビイ・ロード・スタジオのデジタル・テクノロジーによって蘇り、11月17日に世界同時発売されることが正式に発表された。 “LET IT BE … NAKED”の“ … NAKED”は「裸の」という意味で、1969年1月ビートルズがリハーサル、レコーディングを始めた際思い描いていた本来のコンセプトにもとづいたアルバムになっている。1970年にリリースされ、現在も発売されているアルバム“LET IT BE”は、フィル・スペクターがプロデュースし、ミックス・ダウンして完成させたもの。新生“LET IT BE … NAKED”は、“LET IT BE”からオーケストラ、コーラス、サウンド・エフェクトなどをそぎ落とし、ビートルズの演奏の部分だけを残しリミックスされており、セッションのルーツへ立ち戻ったものと言えよう。 “LET IT BE … NAKED”はCD2枚組で、ディスク1には愛され続ける数々の演奏が本来のサウンドで収録され、“LET IT BE”収録曲の別バージョンも収録されている。また、‘The Long And Winding Road’はまったく異なるバージョンで、‘Don’t Let Me Down’は“LET IT BE”には収録されておらず今回初めて収録となる。したがってこの2曲は未発表バージョンとなる。 ボーナスCDにあたるディスク2には、トゥッケンハム・フィルム・スタジオやアップル・スタジオで1996年1月に収録された会話や音楽の断片が収められている。 今回のリリースに際し、ポール・マッカートニーは、「もし当時、今のテクノロジーがあったら、“LET IT BE”はこんな音になっていただろう。スタジオで僕らが演奏していた音とまったく同じサウンドだよ。あの部屋のサウンドとまったくね。今、君たちもそこにいるんだよ」、リンゴ・スターは、「初めてこの音を聴いたときはほんとうに興奮したよ。ビートルズにいたあの時に引き戻されたんだ」とコメントしている。 <曲目に関して> ●1970年にリリースされた“LET IT BE”とは異なる全11曲。 ●メンバーの会話、‘Dig It’、‘Maggie Mae’をカット。 ●‘Don’t Let Me Down’を新たに収録。 ●トラックリスト 1. Get Back 2. Dig A Pony 3. For You Blue 4. The Long And Winding Road 5. Two Of Us 6. I've Got A Feeling 7. The One After 909 8. Don’t Let Me Down 9. I Me Mine 10. Across The Universe 11. Let It Be <ボーナス・ディスク> “LET IT BE … NAKED”にはボーナス・ディスクが入る予定である。 ここには、アルバム“LET IT BE”と映画『レット・イット・ビー』制作時のテープからの貴重な音源が収録されている。20分ほどのこのディスクから、1969年1月のザ・ビートルズのリハーサルやスタジオでの様子を垣間見ることができる。 <CDブックレット> CDに封入されるブックレットには、レコーディング・セッションの歴史的な写真、そして1970年のアルバム・リリース当時のオリジナル・ブックレットに掲載されていたバンドの会話が挿入される。 <アルバム“LET IT BE … NAKED”発売の背景> アルバム“LET IT BE … NAKED”発売への道のり―それはポール・マッカートニーにとっては、まさしく‘The Long And Winding Road’だった。この曲にフィル・スペクターが分厚いストリングスやコーラスを加えたことに、ポールが不満を抱いていたのは有名な話である。 1969年、ビートルズが最初にアルバムの制作を始めたとき、彼らはシンプルなライブ・パフォーマンスへ立ち戻ったアルバムを作ろうとしていた。スタジオ・エフェクトもボーカルや楽器のオーバー・ダビングも加えないアルバムである。しかし、バンド解散というトラブルのためアルバムはフィル・スペクターによって再プロデュースされ“LET IT BE”として発表された。ビートルズが意図したアルバムは今日まで発表されることはなかったのである。 1969年1月4日から、新作のレコーディング風景をフィルムに収めて劇場用映画にし、そのアルバムの発売に合わせて公開するというアイディアのもと、録音と撮影が始められた。トゥイッケナム・スタジオ、アップル・スタジオと移って、1969年1月30日にはアップル社屋上でライブを敢行する。アルバムはこの時点では、“GET BACK”として発表される予定であったが、解散寸前のまとまりを欠いたメンバーの中で、プロジェクトを完成させる熱意が消え失せ、結局リリースには至らなかった。その後、1970 年3月にフィル・スペクターをプロデューサーに迎え完成したのがアルバム“LET IT BE”である。フィル・スペクターが、オーケストラや女性コーラスなどをオーバー・ダビングしたことで、“LET IT BE”は当初ビートルズが意図していたライブ・パフォーマンスに立ち戻るというコンセプトとはかけ離れた内容になった。 “LET IT BE”を作り直すことが話題となったのは、2002年4月のポールのこんな発言からだった。ポールは『USAトゥデイ』紙とのインタビューで、「フィルムをきれいにしているところだ。(プロデューサーであった)フィル・スペクターの手にわたる前のオリジナル・テープに戻しているんだよ」と発言。ポールは同月に別のインタビューでも「“LET IT BE”の元のバージョンを出すつもりだ。アラン・クラインがフィル・スペクターに取り入る前の、僕らが作ったオリジナル・バージョンをね。手をかけすぎだと常々思っていたからね。僕はクリアーなオリジナルが好きなんだ。完成後、座りながら『これはすごくむきだしの、大胆なアルバムだ』とか『オー、ほんとうにクールだ』と思ったのを覚えているよ。でもそのとき僕は忙しくて、僕なしで決められたんだ。そのとき起きていた摩擦のせいでね。推測できるだろうけど。それでもいいアルバムだった。でも僕はいつもむきだしのバージョンのほうが好きだったんだ。・・・だから、今のところ、実現に向かっているよ。(正式に)告知もなにもされていないけど、そういう段階なんだ」と語り、アルバム“LET IT BE”のオリジナル・バージョン発売への期待が一気に高まった。同年9月には、またしてもポールが“LET IT BE”が2003年に再発される予定であることを公言し、発売日の確定が待ち望まれた。その後も度々インタビューで“LET IT BE”の再発について言及するポール。2003年に入ると、ファンの間で話題が加熱。インターネット上では様々なうわさが飛び交うようになった。そして今年7月、リンゴ・スターがインタビューで“LET IT BE”が今秋に再発される予定であることを明かした。リンゴは「次に来るのは“LET IT BE”だ。新しいCDとして清浄化したものが出るんだよ。僕らはそれを“LET IT BE … NAKED”と呼ぶつもりさ。フィル・スペクターの部分を除去するから、バンドの部分だけを聴いてもらえるんだ。僕も聴いたけどすばらしかったよ」と発言。これを機に、ファンの期待はさらにヒートアップし、アルバム“LET IT BE”の再発は一気に現実化した。
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