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ジョージがそこにいた!『LOVE』6/30レポート続編


ラスベガス時間6月30日にポール、リンゴ、ヨーコ、オリビア、サー・ジョージ・マーティンのビッグ5と大勢のビートル・ファミリーや各界の著名人を招いて盛大なオープニング「プレミアム・ガラ」が開かれた。『LOVE』の構想をジョージ・ハリスンと考えたのはシルク・ドゥ・ソレイユの創設者ギー・ラリバテで、彼はショーが始まる前の挨拶で次のように語った。
「ここにいないジョージに心から感謝したい。ふたりでF1レースを楽しみながらこのショーのアイデアが生まれました。もうジョージはここにはいませんが、今日はここにいる気がします」。その言葉に会場はまさにジョージが観ているかのような神秘的な雰囲気に包まれ、続けてラリバテは「そして、このショーはポール、リンゴ、ヨーコ、オリビア、サー・ジョージの協力なしに実現はあり得ませんでした」と語り、観客は後方のVIP席に座っているビッグ5に盛大な拍手喝采を贈った。
すでにショーの内容はプレビューからマイナー・チェンジされ、より簡潔になったオープニングからスタートする。BCCの取材で明らかになった各シーンの名称と、見どころを簡単に紹介しよう。
※解説中に使用楽曲の説明がないものは、シーン名の楽曲が使用されています。

【シーン01】ノーウェア・ランド
どこの国かいつの時代か分からないビートル・ワールドで4人の若者たち(ノーウェア・メン)とペパー軍曹、ザ・フールが交差する。プレビューで使用されていた‘All You Need Is Love’のリハーサル・バージョンがカットされ、‘The Fool On The Hill’のインスト・バージョンが暗転からずっと流れ続けている。プレビューではここでノーウェア・マン達の行く先をビートルズが示唆するようなイメージがあったが、本バージョンでは、観客が自由に解釈出来るようなオープニング・シーンとなった。

【シーン02】ビコーズ
7人のキャストがロープをつたって天に昇って行く幻想的なシーン。‘Because’アカペラ・バージョンを最高の音響設備で堪能出来る。ここは人間が生まれる前の世界なのだろうか。ここで様々な先入観を横に置き、真っ白な心で準備しよう。そうすればきっとビートルズを初めて聴いた時の感動がよみがえるだろうから。

【シーン03】ゲット・バック
第2次世界大戦下のリバプール。ペパー軍曹が中央でもがき苦しみ、様々なキャラクター達が瓦礫の下でうごめく。そんな折、救世主がスクリーンで登場。それはもちろんビートルズの4人。中心となる曲‘Get Back’とコラージュが確認されているのは‘A Day In The Life’‘The End’。膨大な数のビートルズ・ソングがリンクし合う『LOVE』の世界。あなたもコラージュされた楽曲を探してみて頂きたい。それもまた『LOVE』の楽しみ方のひとつである。

【シーン04】グラス・オニオン
‘Get Back’がいつの間にか‘Glass Onion’へ。ジョージ&ジャイルズ・マーティンが知恵とテクノロジーを結集した、真のビートルズ・サウンドの迫力に酔いしれよう。「ビートルズがそこにいるようなサウンド」、『LOVE』の重要ポイントのひとつだ。

【シーン05】エリナー・リグビー
このショーのキーとなるキャラクターが次々と登場。エリナー・リグビー、ファーザー・マッケンジー、女王、ミスター・ピギー。キャラクターそれぞれにも独自のストーリーがあるので、繰り返して観るほど数多くのストーリーを体験でき、深いビートル・ワールドを感じられるのも『LOVE』の魅力のひとつ。コラージュが確認されているのはタイトル・ソングの他に‘Julia’‘Strawberry Fields Forever’‘A Day In The Life’。

【シーン06】アイ・アム・ザ・ウォルラス
「100年経っても色褪せない」とジョンが予言した曲のものすごさを体感。これぞビートルズの楽曲を旅するサイケデリック・ジャーニー。

【シーン07】ロックンロール・ラン(抱きしめたい/ドライヴ・マイ・カー)
ビートル・マニアが会場を賑わす初期ナンバーが取り上げられた唯一のシーン。客席にも降りて来るので、その悲鳴に負けないように。‘Drive My Car’‘What You're Doing’‘The Word’が見事に1曲となって提示されるのにはどんなビートルズ・フリークも驚きを隠せない。

【シーン08】アビイ・ロード
ビートルズが登場し、アビイ・ロードを横断しようとするも、車やジェット機など、奇想天外なものに阻まれてなかなか渡ることができないというコミカルなシーン。このときの4人の会話のやりとりが最高に愉快なのだが、これは膨大なビートルズの会話を編集したもの。担当したのは『LOVE』ブログでいち早く紹介したフランスのスター、フランソワ・ペルスである。

【シーン09】グニク・ナス/サムシング
グニク・ナス(‘Gnik Nus’)とはビートルズの新曲。綴りを見て気づいた人も多いと思うが、なんとこれは‘Sun King’の逆回転バージョンだ。ひとりの男性が4人の女性に翻弄される『LOVE』で最も官能的なシーン。

【シーン10】ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト
ミスター・カイト率いるサーカス団が登場。ナイフ投げのKKK団や、首が落ちる女性、双子に馬のヘンリー君など、シルク・ドゥ・ソレイユの世界観とマッチした無国籍、タイムレス、まるで夢のような幻想的シーンが展開される。楽曲は徐々に‘I Want You (She’s So Heavy)’に移って行く。他にコラージュされている楽曲は‘Cry Baby Cry’‘Good Morning Good Morning’‘Piggies’‘Helter Skelter’。

【シーン11】ヘルプ!
時代の中で疾走するビートルズを表現したシーン。ローラー・スケーターの4人が見事なアクロバットを繰り広げる。4人の頭上ではウォルラスがその動向をじっと見据えているが、誰しもビートルズの勢いを止めることは出来ない。

【シーン12】ブラックバード
楽曲はイントロのみで、歌詞はドクター・ロバートが朗読。4羽の飛べないブラックバードを空に還すストーリーだが、モンティ・パイソンなどに通じる、コミカルかつブラック・ユーモアに溢れた謎多きシーンでもある。

【シーン13】イエスタデイ
すべてのキャラクターのストーリー、そしてビートル・ワールドが交差するシーン。それを表わすかのように様々なキャラクターが四方から現れては消えて行く。サウンドの再現により、この曲が無意識的に持つ本来の悲哀を深く体感出来るのが貴重。

【シーン14】ジャム・セッション
ここで一呼吸。観客を迎えるのはスタジオ・セッションの中リラックスするビートルズ。‘Lady Madonna’‘Hey Jude’‘Let It Be’をユーモラスな会話をしながら4人がセッションしている。まるであなたはアビイ・ロード・スタジオに招かれたゲスト。

【シーン15】ストロベリー・フィールズ
中央に置かれたミステリック・ピアノでドクター・ロバートやノーウエア・メン達が大小様々のしゃぼん玉を作っている。先ほどのジャム・セッションで使用されたと思われるドラム・セットやエピフォン・カジノやギブソンのSGギターも置かれたまま。ビートルズはどこへ行ってしまったのだろう? ‘Strawberry Fields Forever’はデモ・バージョンとテイク1とオリジナル・バージョンが絶妙に繋げられていて、ジョンが希望していた「もっとアコースティックな感じ」に近づけてある。「ビートルズの曲を全部やり直したい」とジョンに言われた、ジョージ・マーティンの渾身のリミックス。エンディングには‘Penny Lane’‘In My Life’‘Piggies’‘Hello Goodbye’がコラージュされ、さながらビートルズ・オン・パレード。

【シーン16】パレード
先ほどのビートルズ・オン・パレードをバックにサージェント軍曹率いるロンリー・ハーツ・クラブ・バンドが勇ましく登場。もちろん観客もバンド・メンバーの一員なのだ。

【シーン17】ウィズイン・ユー、ウィズアウト・ユー
‘Tomorrow Never Knows’のドラムに‘Within You Without You’のボーカルのコラージュが見事シンクロ。ビートルズの新曲の登場に驚愕。ジャイルズ・マーティンが「どこまで大胆にやってもクビにならないか試した」と記者会見でジョークで語った曲だが、こうした姿勢をリンゴは100%支持したという。

【シーン18】ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
空の上を飛ぶルーシーと地上のファイアーマンが織りなす不思議空間。すべての楽器を分離したようなサウンドで、各々の楽器や声がはっきりと聴こえる。ビートルズにはこんな楽しみ方もあったのだ。当時20代の若者たちが考えた緻密なアレンジに舌を巻く瞬間。隠し味として絶妙にオーケストラが追加されているのも新しい。

【シーン19】オクトパス・ガーデン
クラゲや光るフライング・フィッシュが登場する深海のシーン。リンゴはこの曲を「独りでいることについて歌った」と語った。‘Good Night’のオーケストラに‘Octpus 's Garden’のボーカルという、想像を超えた組み合わせ。‘Lovely Rita’のドラムのフィル・インで‘Octpus's Garden’本編へ突入。リンゴの深みのあるボーカルが再現され、リンゴのボーカルが再評価されることは間違いないだろう。

【シーン20】レディ・マドンナ
激しいボディ・パーカッションを堪能するシーン。踊るのはハイ・テンションなブルース・マンである、シュガー・プラム・フェアリーと、もちろんレディ・マドンナ。全員が黄色いガンブーツを着用しているのは何故だろう? コラージュされているのは‘Hey Bulldog’‘While My Guitar Gently Weeps’。

【シーン21】ヒア・カムズ・ザ・サン
‘Within You Without You’のバックで‘Here Comes The Sun’。クリシュナに導かれて、ペパー軍曹や4人の子どもたちも瞑想する。ステージ中央には輝かしい魂の太陽が。ジョージを身近に感じるワン・シーン。

【シーン22】カム・トゥゲザー
リンゴのドラム、ポールのベース、ジョージのギター、そしてジョンのボーカルとポールのコーラスが驚愕のサラウンドで現れる。本当に目の前でビートルズが演奏しているよう。

【シーン23】レボリューション/バック・イン・ザ・U.S.S.R.
フラワー・ムーブメントと体制の戦い。ステージでは若者たちが行き場を探し、超絶なアクロバットが繰り広げられる。ビートルズが若者を励ますようにサウンドをとどろかせる。ジョンの「All Right」がこだまする。激しいシーンのあとは、夜になり、キャラクター達が移動する中、4人の会話が聴こえてくる。まるでジョンとジョージにポールとリンゴが電話しているようだ。

【シーン24】ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス
“ANTHOLOGY”に収録されている弾き語りバージョンに新しくオーケストラが加わったバージョン。ビートルズのバラード・リストに新たな曲が追加されることとなった瞬間を観客は目撃する。

【シーン25】ア・デイ・イン・ザ・ライフ
ジョンのトラウマとなった母親ジュリアの死のイメージ。眠れないジョンの前にジュリアが現れ、秘密のペンダントを渡す。親子は惹かれあおうとするが、突如四方から車のヘッドライトが引き裂く。“ABBEY ROAD”のアルバム・ジャケットに写っているような白いフォルクス・ワーゲンがジョンに向かって行こうとするが、ジュリアは身を挺して車に突っ込んで行く。バラバラになる車と宙を舞うジュリア。ジョンの深層心理にトリップ体験。

【シーン26】ヘイ・ジュード
悪夢が覚めたら大団円。ステージと客席が一体となって歌うシーン。思い切り歌って観客もまたビートルズの歴史に刻まれていく。

【シーン27】サージェント・ペパー(リプライズ)
キャストも続々登場し、みなは現実世界に戻される。ビートル・ワールドへのつかのまのタイム・トリップは終わった。夢は終わったのか? いいえ、『LOVE』を観てビートルズから愛を受け取った後はきっと世界が変わるはず。そして、明日からきっとビートルズの聴こえ方も変わることだろう。あなたは人生の中でまたビートルズと出会えたのだ。

【シーン28】オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ
スクリーンが4枚、上方から降り、様々なビートルズの映像が映る。『LOVE』をたくさん与えてくれたビートルズに今度はあなたが愛の拍手を贈るシーン。

あなたが受ける愛は、あなたが与える愛に等しいのだから。

文:(C)The Beatles Club/B’net
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