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オノ・ヨーコ「Odyssey of a Cockroach」展開催


5月27日から6月24日まで、モスクワでヨーコの「Odyssey of a Cockroach」展が開催される。以下にそのくわしい概要を掲載する。

第2回モスクワ現代美術ビエンナーレ
特別ゲスト展 オノ・ヨーコ「Odyssey of a Cockroach」

会場/モスクワ、TSUM(4階特設会場)
期間/2007年5月31日から6月24日
主催/ロシア連邦文化マスコミ庁、「ロシアン・センチュリー」財団、モスクワ・ビエンナーレ財団
協賛/TSUM
後援/Miraxグループ、「Krasny Oktyabr」プロジェクト

開催にあたって
オノ・ヨーコの「Odyssey of a Cockroach」展は2007年5月31日から6月24日まで、Petrovka street, b.2にある、TSUMの新会場(4階)で開催されます。
本展はロシアン・センチュリー財団、モスクワ・ビエンナーレ財団およびTSUMの共同企画で開催され、第2回モスクワ現代美術ビエンナーレの「特別ゲスト」展という枠組みで行なわれます。
「Odyssey of a Cockroach」は巡回展であり、Jeffrey Deitch氏のソーホー・ギャラリーで始まり、その後ロンドン現代美術研究所(2004年2月から3月)で開催されました。
2007年の5〜6月のモスクワ開催は、ニューヨークとロンドンの開催で世界的に反響を呼んだこのオノ・ヨーコのプロジェクトを幅広い観客にお届けする3つ目の開催都市になります。
本展はJoseph Backstein(モスクワ・ビエンナーレ、モスクワ現代美術研究所のコミッショナー)とPhilip Dodd(ロンドン現代美術研究所の元ディレクター、クリエイティブ・シティ・ネットワークスのディレクター)のキュレーションのもとで開催されます。

「Odyssey of a Cockroach」の概要
「Odyssey of a Cockroach」は、演劇における舞台装置という形式をとっています。ニューヨーク市を徘徊するゴキブリの経験を観客に見せます。しかしそれ以上に、ニューヨークの『タイム・アウト』誌のレビューを引用すると、本展は「時間を、具体的に言えば20世紀を旅する、移ろいゆく通路」なのです。
本展の壁は、爆撃されたビル、飢えた子どもなど、暗い都市の風景をとらえたビルボード大の写真に覆われています。プラスター製のボディキャストで溢れる高さ6フィートのゴミ箱や、人間の作った巨大なネズミ捕りのレプリカ、捨てられた所有者不明の何百もの靴などの大きくそびえ立つオブジェも、同様の劇的なテーマを伝えています。
世界の諸地図が貼られた巨大な机の上には、ニュルンベルク裁判のHermann Goeringによる引用が印刷されたインデックス・カードが置かれています。第三帝国において司令官であった彼はこのように言っている:「人々を戦争に引きずり込むのはいつだって簡単なものだ。攻撃を受けている、と彼らに言うだけでいいのだから」
オノ・ヨーコはこのプロジェクトを始めることになった経緯について、このように説明しています:「1日ゴキブリになり、ゴキブリの目を通してこの街がどうなっているか見ようと思ったのです。ニューヨークが私たちの社会の文化的中心だと言って差し支えはないので、その街角の写真をさまざまに撮影し、それをゴキブリの視点で提示しています。このもうひとつの強力な種族の目を通し、私たちの夢や悪夢が作り上げたものの真の現実を知ることができるかもしれません。あなたにも私のこの旅に参加するよう、招待したいと思います。

オノ・ヨーコの「Odyssey of a Cockroach」についてのコメント
20世紀は、残虐性における人間の実験が最高潮に達した世紀でした。それ以前の世紀では、自衛や生存のために互いを殺す口実がまだありました。20世紀に入ると、私たち人類は、残虐が不必要になるだけの賢さを持つようになりました。しかしそれでも互いに残虐になるように駆り立てる強い欲求が、以前の時代から引き継がれ、繰り返し実行されてきました。事実、私たちは人類史上最も野蛮な世紀を作ったのです。それは人類に苦しみを生みました。
私たちは女性に、私たちが飢餓を強いた人々と同じぐらいに痩せることを求めました。家族を崩壊させ、私たちは精神的に、感情的に、そしてときには物理的に、家族から分断されました。子どもを虐待するようになり、彼らを無視したり、私たちから奪われることを許したりしました。子どもが私たちを見捨てることもありました。はかない平和も、恐怖と疑念を含むものでした。愛もはかなく、慎重なシニカルさをもって迎えられました。実際、私たちは精神的にも感情的にも飢餓に陥ったのです。
私たちは今、私たち自身が作り上げた心理劇に苛まれて、諸々のプロパガンダを通してしか現実を見ることができないほどになってしまいました。

オノ・ヨーコの紹介
アーティストであり作曲家であるオノ・ヨーコは1933年、日本の東京で生まれました。コンセプチュアル・アートの創始者のひとりとして評価されており、1960年から1962年にかけて制作された彼女の作品たちは、Fluxusグループの設立(1961年)に大きなインパクトを与えました。1960年代前半における彼女の活動や音楽作品は、XX世紀後半の音楽とパフォーマンス・アートがさらに発展する背景を作りました。
2000年にニューヨークのジャパン・ソサエティが企画した大規模な回顧展、「YES YOKO ONO」は北米7つのミュージアムおよびソウルのサムソン・ミュージアムで開催され、その後ミト・アート・タワーを皮切りに日本の5つのミュージアムを巡回しました。
2003年のベネチア・ビエンナーレに参加し、プラハのミュージアム・カンパとデトロイト・インスティチュート・オブ・ジ・アーツで個展が開催されました。また、東京のモリ・アート・センター、リバプールのテート・リバプール、モントレオールのミュージアム・オブ・モダン・アート、バルチモアのバルチモア・ミュージアムなど、世界中のグループ展でフィーチャーされています。

主催者「ロシアン・センチュリー」財団
ロシアの文化振興を目的とした財団、ロシアン・センチュリーは、新設の文化支援財団です。昨年はMKHATスクール・スタジオやプーシキン・ミュージアム・オブ・ファイン・アーツ(Mikhail Baryshnikovがミュージアムに寄付したMaksimilian Voloshinの水彩画展や、「Meeting with Modigliani」展などは、財団の後援のもとで行なわれた)を支援するなど、いくつかの文化プロジェクトを担いました。財団により、フェデレーション・タワーで行なわれる2007年第2回モスクワ・ビエンナーレのメイン・プロジェクトが可能となったのです。

協賛社「TSUM」
オノ・ヨーコの展示会はTSUMで開催されます。2007年春、TSUMは、第2回モスクワ現代美術ビエンナーレの会場に決定しました。TSUMは現在、世界の最高級デパートに比類するロシア唯一のデパートです。実際のアーティストによるクリエイティブな作品や、ファッションにおいて最も影響力のあるブランドを集めた現代的なコレクションにより、同時代性というエネルギーに溢れる特別な空間が形成されています。TSUMで行なわれる第2回モスクワ・ビエンナーレは、ファッションと現代美術のアイデンティティを浮かび上がらせるイベントです。オノ・ヨーコの展示会は、ここTSUMのみで行なわれます。


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